2017年11月2日木曜日

投資判断には、感情が必要である

多数説は、『感情を廃することが、正しい判断につながり、好パフォーマンスを生む』と考えていると思われる。

私は違う。投資を業として始めたときから、感情を廃することに違和感を覚えてきた。
感情を正しく観察することが、好パフォーマンスをもたらすと信じている。



2冊の本の中に、『やはり、私の考え方は間違ってはいなかった』と思わせる部分を見つけた。うれしかった。一冊は、『心と脳の地形図』(上の写真)である。もう一冊は、『人はなぜお金で失敗するのか』(下の写真)である。



『心と脳の地形図』によれば、感情は人間の判断活動に不可欠であり、感情が無ければ判断不能に陥るのが人間の物質的特性だそうだ。
感情を持たない人工知能(AI:Artificial Intelligence)は、おそらく不完全で危険な(暴走を止められない)存在かもしれない。


『人はなぜお金で失敗するのか』は、近年急速に脚光を浴びている『Behavioral Finance(行動ファイナンス・行動経済学)の本であり、“実は非合理的な特性を持っている人間の判断・行動”について書かれている。

“すべての情報を瞬時に合理的に判断して行動する人間を前提とした古典的な経済学を正しく修正するものである。


なお、もっと古典的な経済学は、非合理的な人間の特性を加味してあったらしいが、計量的な経済学の邪魔になるという理由で、すべて合理的という単純前提化<してはいけないのに>してしまったようだ。ある意味では経済学は昔にもどりつつあるとも言える。



さて、2冊の本に書かれたことをベースに、私が信じてきたことを記述します。
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人間は本質的に心の安定(安心の感情)を求めるようにできている。
感情が安心を求める時には、正しい・合理的な決定よりも、心の安定をもたらす判断・行動を優先してしまう
心の安定は、生物としての人間が求める『満たされるべき欲求』の中で優先度が高いのである。特に非通常の事態ではそうである。生物として安定した感情を求める人間には、時として、一見非合理的な決定・行動が必要になるということである。

特に、不確実性が高いような状況では、人間は非合理的になる確立が高いということは、株式投資の銘柄選択・売買タイミングに関して、相場の大幅な上昇・下落の状況での投資判断などが、まさにその最たる例だろう。

“なんで、こんな時に!こんな銘柄を!買って(売って)しまったのだろう???”という事例が多いのは人間の判断・行動特性から当然の成り行きなのだ。

『心と脳の地形図』によれば、感情は、物事を天秤にかけたり、評価するのに必要である。合理的な対応が複数浮かんできた時に、そのうちどれが正しいかを選定するのが感情である。人間の脳では、わかること(感覚・知覚)の上位に感じること(感情)が位置している。

このように、感情が決定を支配しているがゆえに、心に通常以上の圧力がかかったりする際には、一見非合理的な決定・行動を迷わず選択するのである。
なお、私たちが能動的に何かをすることとは、感じることである。
そして、感情の本質とは、『危険から遠ざかり、利益になるものに近づこうとする生き残りのメカニズム』なのである。
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