2016年11月29日火曜日

まだまだ続く正社員の苦境

今日11月29日のセミナーのマクロ・セッションで再確認したことは、終身雇用正社員の苦境は自ら招いた自爆なのでまだまだ続くということだ。
 
1:春闘の自爆
春闘の賃上げの基本方針は、物価上昇率相当の賃上げであり、かつ企業業績が悪くても賃上げだった。業績連動を拒否する作戦だった。

それゆえ昨今の物価の低迷に際しては、デフレだから賃下げとは言えず、業績が悪かろうが「雇用を保証しろ!」という作戦を続けてきた。

その結果アベノミクスによって業績が良くなったから「業績連動」と言うわけにもいかなかった。言えば、「じゃあ、将来業績が下がったら!」と切り返されるからだ。

2:業績と無関係の賃金交渉がDNA化した結果、働いて業績を良くするインセンティブが組合員(=正社員)から消えた。そんな不合理に嫌気を感じた若手は、業績連動のリスク・テイク型の企業に移り始めた。

今や、戦後に発展した終身雇用型企業の組合は「既得権にすがりつく正社員の互助会」的な存在に陥っている。

3:一方、非正規社員との所得格差は若干しか縮小しておらず、今後も非正規職員の賃金上昇が正規のそれを上回る状況が継続するだろう。