2016年7月31日日曜日

中国の民主化 (7) 社会主義とは

1:社会主義と中国共産党
社会主義は、生産物や富を公平に分配することを目指す「分配主義」である。
生産や消費に関しては、可能な人が可能なだけ生産し、必要な人が必要なだけ消費するのが社会のルールだ。

能力のない人が少ない生産しかできず、しかも多くを必要とするなら、生産以上を消費することが許容される。その分は能力が大きく必要の少ない人が負担するという考え方だ。

それを実現すべく、エリート(=共産党幹部)が計画を立て、人民が実行する
競争の結果としての格差を否定し、絶対平等&結果の平等を「是」とする

社会主義は欧米的なフェアの価値観を否定する。
フェアは勝者の理論(自由貿易も勝者の理論)であり、
世の中の多数を占める負け組にとっては欧米的な価値観ではアンフェアであっても「社会主義的に是である絶対平等」が必要であるという考え方だ。

しかし現実には、富裕層の貯め込んだ余剰生産物を奪って分配してしまえば、後に残るのは「生産インセンティブのない非効率な社会」である。

他人に奪われる(無償で差し出す義務)ものをボランティアで生産しようという者はいないため、社会全体の生産性は低い

それを防止しようと、共産党が人民に命令、強制で働かせようとするが、そもそも当の共産党員が働かずにピンハネする体質だから、人民は面従腹背に終始する。

理不尽でアンフェアな制度の維持には強制力が必要であり、(だから、軍隊のない共産党は存在しない)強制力とは軍隊、秘密警察、密告制度だ。

組織を維持するためには分け前の配分が必要だ。
中国共産党も経済的な勝者を取り込んで利権を確保しつつ、分け前の配分に必要な資金確保に奔走している。今や9000万人の党員を抱える巨大な利権集団となっており、分け前配分に必要な財源確保は大変な作業だ。