2015年8月4日火曜日

上海株の暴落_2:上海市場の暴落は、1987年10月のブラック・マンデーの米国株式市場の暴落に似ている

ブラック・マンデーの時、米国SP500指数は、8月にピークを付けた後ズルズル下がり、10月の最安値までに約▼35%という下落を記録している。

1987年のブラック・マンデー時の米国株と、2015年の上海株式は、ともに「約35%」という、似たような暴落を記録している。
2:「上がるから買う、買うから上がる」という「イケイケ・マーケット」が出現した
理由は異なるが、結果として同じようなマーケット状況になったことは確かだ。

<<1987年の米国株式市場>>
1987年の米国株式のPERは当時のPERの天井と言われていた20倍を超える割高水準にまで上昇した。
実は、1987年のブラック・マンデーの前に「Portfolio Insurance」というシステム売買の仕組みの導入が流行した。
このシステムがあれば、相場が一定以上の下落を示した際には、事前に設定した範囲に損失を限定するに必要な先物売りオーダーが実行されるから、下落リスクのヘッジができていると解釈された。
だから、ファンド・マネージャーは強気で買い続けても構わない、という雰囲気が醸成された。
しかし、ブラック・マンデーの時は多くの機関投資家のPortfolio Insurance」から大量の先物売り(および、指数採用銘柄の売り)が殺到する一方、その売りを受け止める「買いオーダー」は霧散した。
(今から思えば、買いオーダーが消えることは当然の事態だと想定できるが・・・)
結果として、売りオーダーが約定できないまま値段だけが大幅に下がり、Portfolio Insurance」は損失の限定という目的を果たせなかった。
果たせなかったどころか、売りが売りを呼ぶパニックを市場で増幅させてしまった

<<2015年の上海株式市場>>
2014年8月に習近平の政権の完全掌握が明白になったことが市場に伝わった。
政府の軸足は、政治闘争から経済重視に変わると、投資家は判断した。
国営企業改革を促進するために、リストラで体質改善した企業を株式市場に上場し、そこで得た資金を別の国営企業の体質改善に使い、好循環を生じさせるという政策の発動を株式市場は好感した。
政府は株式市場を重視している。中国株の未来は明るい。そういう楽観的な雰囲気が個人投資家の間に醸成された。
さらには、過去数年間にわたって個人投資家の資金を引き付けていた不動産と理財商品だが、不動産は政府の投機防止策によって値下がりが目立つようになった。また理財商品は金利の低下によって投資的魅力を失っていた。
そこに出現したのが、株式市場の魅力的な上昇相場だった。個人の資金が、不動産市場と理財商品から一気に株式市場に向かった。
上海株式市場の出来高は、90%を個人投資家の短期投機が占めていると言われる。
PERなどの指標は無視され、「買うから上がる、上がるから買う」という古典的な投機市場の特徴が維持されている。
つまり、振り返ってみれば、上海市場は「単に買われ過ぎ」の咎めとしての大きめの株価調整が出現した、という事になるだろう。