2020年12月29日火曜日

Intel&AMD語からARM語へ

PCの数量は少数だ。しかし、数では少数派だが、IT製品の全体世界に君臨してきたのがPCだった。


2020年は、そのPCの世界に地殻変動が起こった
アップルがスマホ、タブレット、PCの言語統一のために、Intel&AMD語のCPUからARM語のCPUに鞍替えしたのだ その理由は明白だ。 スマホ、ダブレット、PCのシームレスな一体化を実現するには、全てのCPUの言語が統一されている方が安くて簡単に早く実現できるからだ。

2020年の地殻変動はアップルの
マックだけであり、その世界シェアは5%に過ぎない。しかし、少し先には、「Windows陣営の分裂」が見え始めている。マイクロソフトがARM言語ベースのCPUを自分で設計すると言い始めたのだ。

これまでのIntel&AMDの行動は、95%のシェアを占めるPCの世界に安住して、モバイル製品が求める低電力消費に力を注いでこなかった。 その間にARM言語のモバイル用のCPUは格段の真価を遂げていた。 そして2020年秋に「アップルのM1チップ」によって、低電力消費、低価格、高性能を実現したCPUが誕生し、高電力消費、高価格のIntel&AMDのCPUを一気に過去のものとしてしまった。

アップルのPCは同程度のIntel製CPU搭載のPCよりも、安価で高性能
という状態で販売が開始された。 マイクロソフトをこれを見てIntel&AMDに100%依存するビジネス・リスクを強く感じて、ARM言語ベースのCPUを自分で設計すると言い始めたのだろう。


そしてIntelはひそかにCPUの値下げを始めた。アップルのPCが同程度のIntel製CPU搭載のPCよりも、安価で高性能という状態はIntelにとってビジネスの縮小を意味するからだ。 さらには、今後の有望市場であるIOT領域からIntel&AMD言語の製品が締め出されてしまうリスクも増大するのだ。

2020年6月30日火曜日

強者はいつでも約束を破棄する権利を持つ

国と国との約束は「自動的に紳士的にモラル的に」守られる性格を持たない。
約束を反故にしたらひどい目にあうぞ、という圧力が無ければ守られない。

また、国家間の約束の多くは対等ではない。
強者はいつでも約束を破棄する事実上の権利を持っている。トランプ大統領の行動を見ていれば明白だろう。地球温暖化条約、TPP条約、イランとの核合意、枚挙にいとまがない。

そいう視点で香港返還に関する中英合意を考えるのが妥当だと思う。


2020年6月9日火曜日

2020年の前半を振り返る

6月8日に23000円を超えた。
あと二日ほどで+2%チョイ(約500円)の上昇があれば、2020年のコロナ・ショックによる損失が消える。2020年の株式投資が再スタートできるレベルにきたのだ。

「さあ、今度はたんまり儲けて、その後に来る売り時の判定は間違わないぞ」と意気込む投資家が多いと思うので、2020年の1-6月を振り返っておきたい。


年明け1月には中国で何か伝染病が発生しているようだが、情報不足のなかUS株の堅調さもあり日欧の株式は無反応だった。
過去のSARSやMERSで世界経済が悪影響を受けた感じでもなかったし、聴こえてくる新型感染症に関しても、当初は人から人へは感染しないとか、ウィルスの殺傷力は弱そうだとか、を投資家は信じていた

しかし、2月19日にUS株がピークを打って下がり始めると、投資家の楽観は徐々に消えていった


①23000円を割れて20000円までの下落は、情報不足の中の根拠なき楽観が、日々更新される新情報(特に、2月3日に横浜港に入港したクルーズ船ダイヤモンドプリンセス号)によって投資家の注意喚起が呼び起こされ、一部の投資家の売却を発生させたフェイズだった

②その後、日本での感染者の増加、メディアのバラエティ番組による懸念増幅的な報道、欧州イタリアでの感染者と死者の急増、米国での感染者の急増などに投資家は急激に悲観的な反応を示しパニックに陥ったのが、このフェイズだ。

このころには、過去のSARSやMERSの際の市場情報も伝わり、投資家は長期の調整を覚悟した。感染者数や死者数がSARSやMERSをはるかに上回る規模になってきたからだ



③しかし、政府の緊急事態宣言を契機に投資家のパニックは終わった。現状をコントロールする政府の意思が明確に示されたからだ。
SARSやMERSを上回る生命や経済に対する実害が発生しているという現実を見るに、投資家の不安は残りつつも、政府が矢継ぎ早に出してくる大規模経済対策で徐々に平静に戻って投資に復帰する投資家が増え始めたのがこのフェイズだった

④緊急事態宣言が解除されると同時に、安心感が広がった。世界中で経済活動の制限が緩和&解除されるトレンドになった。
投資家は過去の悪を過ぎ去った事だと評価の対象から外して、株式を買い増しする行動に転じた。

そして、6月8日に2300円に復帰し、その翌日に日経新聞には下のような記事が出た。


株式投資は義務ではありません。買いを煽るような見出しの記事ですが、自分で判断しましょう。
なお、4月に書いた「安心 vs 安全」をご一読いただければ幸いです

では、皆様の幸運を祈ります。私は、まだまだ寝て過ごします。



2020年6月7日日曜日

コロナ・ショックとドル円の推移(2月~6月)

2月以降のドルの動きを振り返っておこう

①コロナの無いUSは安全
USはコロナとは無関係だ、日本、中国、欧州はダメだ、ドルが安全だ
絶好調のUS株もあり、ドルがグイっと上昇した

②世界中がパンデミックでコロナ・ショック
世界的なパンデミックでパニック的にリスク・オフに陥った
112円から101円まで一気にドル安となった、リスク・オフの第一ステージ



③ドルに逃げ込む
新興国はダメだ、資金を引き上げよう。その資金は安全なドル・キャッシュにしておこう
資金を抜かれた側は、資金ショートで倒産するのを防止するために、必死でドルをかき集め
後者のパニック的なドル買いがドルを押し上げた、リスク・オフの第二ステージ

④無制限ドル供給でドル資金が市場に溢れ、パニック的なドル買いが終わ
ドル急騰の反動でジンワリとドル安

⑤「Worst is over」が徐々に広がる
新興国へに資金回帰はまだ先の話
リスク・オンの動きの広がりに歩調を合わせて、ドルのじり高

⑥ どういう動きになるのか?
観察しながら判断したい

2020年5月23日土曜日

全人代が終わると、米中の攻防の立ち位置が変化する

全人代と大統領選挙は大きなセレモニー
それが終わるまでは経済を悪化させるような米中戦争の激化は双方ともやれない
せいぜい口論を戦わせるにとどまらざるを得ない

3月のボトムからの米国株の戻りの良さも、「トランプは米中戦争に関しては空砲しか打てない、貿易戦争を仕掛ければ、米国経済にもダメージが出る、大統領選挙にとって経済ダメージは避けたいのがトランプだ」と投資家は見透かしていることが背景にある。

その事情は中国の習近平も同じで、5月の全人代が終わるまでは口論であっても先制攻撃は避けることになる。

しかし、全人代が終わると、米中の攻防が変化する。来年の全人代までは、政権を揺さぶるような選挙などのようなセレモニーは習近平にはない。

6月から10月までは、
1:トランプは、景気悪化を懸念する有権者経済を気にして、肉を切らせて骨を断つような貿易戦争を仕掛けることはハードルが高い状態が続く
2:習近平は、重大セレモニーが終わり、しかも2020年の経済成長の数値目標も放棄した状態(=政策のフリーハンドを得た)なので、米中貿易を犠牲にしても国際政治的な中国の名誉を正面に打ち出した国際政策を実行できる
という、中国有利な期間になる。

投資家は、「米中は口論以上のことはしない」というコンセンサスで投資をしているのが5月だ。もし、米中貿易戦争が本当に激化すれば、投資家はうろたえるだろう

2020年5月9日土曜日

車と家の買い替えはやめても、スマホは辞めない

人間の経済活動だが、生活の基本部分(=生活必需品部分)だけで構成される経済規模は小さい
軽自動車で必要十分であるにも関わらず、より大型でより高価な車(不要不急の車)を買うのが人間行動の常態だ、という図式を考えてみればわかりやすい。

とは言え、何かのショックが加わり異常事態になると、急速に不要不急が縮小する。
その結果、不要不急部分の需要に依存する企業は苦しくなり雇用を維持できなくなり、人減らし解雇で生き延びようとするが、それでもダメなら倒産してしまう

さて、5月9日金曜日に発表された米国の月間雇用統計の失業率は”14.7%”に大幅悪化した
戦後最悪の数字だ



経済を見る際には失業率よりも「雇用者の増減」のほうが重要
ただ、失業率は政治的には重要性が高い。メディアが雇用者の増減よりも分かりやすくてインパクトのある失業率を正面に出して報道するからだ。

その非農業者雇用増減の数値だが、4月の状況は戦後最悪、しかも過去の最悪を10倍上回る最悪状態だ。もっとも1945年よりも現在では労働者の総数が増えているから単純比較はできないが・・・・



米国の人口だが、2019年7月時点で3億2000万であり、1945年ごろの約2.2倍になっている・それを考慮すれば、今回の非農業者雇用増減の悪さは1945年の5倍のネガティブ・インパクトだと考えられる

<< 米国の人口推移 >>


5月8日の統計で驚いたのは、平均時給の急増だ。
通常ならば、平均賃金はじりじりと増加する。これまでもそうだった。
今回の平均賃金の急増は、高賃金者が増加したのではなく、低賃金労働者が大量解雇されたためだ。2020年のコロナ・ウィルス騒動による被害者は低所得者層に極端に偏っているのだ。

民主主義政治的には高所得者も低所得者も一人一票だ。2020年の米国は大統領選挙の年だ。大統領候補はコロナの被害者を味方につけるような選挙運動をすることになる



所得が下がった時の消費者の行動は、
1:自動車や住宅の買い替えという不要不急&多額の消費は先送りする
2:スマホでTwitterは辞めない
3:給与の低下に比例した生活水準の切り下けは実施せず、貯蓄を取り崩して対応するか、借り入れで対応する。それでもダメなら、一気に縮小に踏み切る(住宅ローンの支払いを止める、等)
という順番になる

足元のデータによれば、週間の消費統計はリーマン危機時を上回るペースで縮小している


消費者のマインド(ミシガン大学調査)は、リーマン危機ほどには下がっていない
観察できることは、「コロナに驚いて消費は縮小したけど、この苦境は短期で元に戻る」と希望している消費者がリーマン危機時よりは多いということだ
リーマン危機の時は、2007年後半からジワジワと悪化して2008年9月を迎えたという約2年の悪化プロセスだったが、2020年のコロナ・ショックは2020年2月に一気に来たという瞬間悪化に等しいので「現実の悪さを心底からは納得できない」のだろうし、「この状態が1年以上も続くとは考えたくない」、という素直な感情が多数説なのだろう



「現実の悪さを心底からは納得できない」という感情は、自分のせいではなく他の悪者のせいで、自分は被害者だという感情に直結する。
政治家も「我々はコロナ対策を頑張った。この苦境の原因は自国にはない」という手法で、有権者の目を外国に誘導しようとする。中国悪玉論が欧米の有権者に広がるのは仕方が無いところだ

GDPは投資という点では遅行指標だが、1-3月よりも4-6月が悪化するだろう



弱者は経済の不要不急部分に依存する度合いが高いという事は、企業にも妥当する
株式投資に関しては、V字型回復という期待を横に置いて考えれば、大中企業の重要な支出、戦略的な支出に対応した製品やサービスを提供する企業は被害が少ないだろう。
TV会議の進展と定着により、出張の減少は長く残るだろう。
総じて、ITシステムに対する企業の支出は勝ち組みだろう

なお、失業に関して週間ベースで変化をとらえるために、春山的に計算しているのが下図だ。
最新の失業保険受給者に直近2週間分の新規失業者を加えた人数を「推定失業者=所得を失って困っている人数」と考えて計算している
5月7日に発表されたデータで計算すると、2966万人が所得を失って困っていることになる


労働者の総数は1憶6000万人に仮置きで計算した推定失業率が下図青線
毎月正式に発表される失業率は赤線
失業率の絶対レベルはさておき、所得を失って困っている人の割合という点では青線の方が妥当しているかもしれない



なお、投資家は未来を見て投資する、楽観的に考える、政府の行動を前向きに解釈する、というのが基本姿勢だ。
つまり既に発生した過去の悪いデータで悲観的になって株を売却することは稀だ。
投資家の株売却は、先が見通せず、政治家もほとんど動かず、不安心理が高まって行く、そういうフェイズで発生する
この点は注意して投資判断する、という原則は忘れないようにしたい

2020年5月2日土曜日

アベノミクスの成功は過大評価されている部分がある

株式市場を振り返ると・・・・ボロボロだった民主党政権時代でも、業績はジリジリと上昇していたし、その上昇ペースは安倍政権になったからといって、加速していない

民主党政権化の株価の低迷は、政治の混乱を見た投資家が日本経済全体の将来を悲観したために株式という投資対象の評価(=株式valuation=PER)を引き下げたことで生じたのだ。(下図の水色部分)
日本企業は政治の変動に関わらず、淡々と努力しているのだ
そして、今後の日本経済全体に関して投資家が悲観する状態になれば、PERの低下が生じて株価が低迷する可能性がある。2020年5月1日現在では、それは発生していないが・・・・

2020年4月30日木曜日

安心 vs 安全

不安に対して、説得で打ち消すことはできない感情の世界の問題だ
心の領域は「ゼロか百か」の性格を持っている
安心・不安は感情、それに対して理性で影響を与えようとしても徒労に終わることが多い




一方、安全・危険は相対的な判断だから、理論的に考えたり、複数の選択肢からベターなものを選択する判断力が物を言う世界だ
相対判断の世界には、絶対安全というものはない

これらは相場の世界でも常時せめぎあっている



安心して買える相場は危険なのだ
よくわからない、不安だから、そこで買ったっポジションは儲かるのだ

2020年4月17日金曜日

ITバブル2.0への道_1

NASDAQ指数やITセクターの独歩高が懸念されている
2000年に崩壊したように、既にITバブルになっており、「もうすぐITセクターの暴落がくるのでは?」という懸念も生まれつつある。

温故知新、、、調べてみよう

下図左は、冷戦後の相場がスタートした1982年8月からITバブル崩壊までの3個の指数の推移だ。NASDAQ指数の突出が始まった時期は、Windows95とInternetの出現の時期と重なっており、2個の要因がITバブル相場を出現させたと推定できる。

下図右は現在相場が始まった2009年3月から現在までの3指数の推移だ
やはりNASDAQ指数が突出しているように見える



2番目の図は、縦軸を対数目盛にしたものだ
左右のグラフを比較すると、今回相場は最初からNASDAQ指数の優勢が続いていることが分かる
一方、前回相場におけるNASDAQ指数の突出は「1998年10月以降に顕著になった」ことが分かる



3番目の図は、SP500指数に対する相対パフォーマンスを比較したものだ
前回相場では、NASDAQ指数はSP500の2.3倍まで上昇した
今回相場では、現状は1.6倍である



ただし、前回相場で1.6倍を超えるのは1999年12月
そして、NASDAQのピークは2000年3月だった
その間は4か月
つまり、バブルの最終局面は4か月だったのだ

2020年4月10日金曜日

春山ルール 52:暴落後の株のポジショニング

飛び乗ったら飛び降りろ(春山ルール18)、の補足的な事ですが・・・
暴落後の株のポジショニングは一般論とは別になります。
5-6年に一回あるか無いかの局面での売買行動です
そのエッセンスは、
1:理性よりも感情が支配する市場への対応と考える
2:新着のニュースに過敏&過剰に反応する性格を考慮する
3:持続性のあるトレンドは生じず、コロコロと局面が変化するので、固執しない
4:株価の上下動はチャートの節目で変化する
つまり理性的な計算に基づくPERの有効性が低いのが暴落後の不安定期間です

安定的な上昇トレンドが生まれるまでは、大なり小なり、こういう状況が続きます

2020年4月9日木曜日

目次 : 推薦図書

1:石井独眼流実戦録、かぶと町攻防四十年

2:日本証券史(3)

3:サブプライム問題とは何か

4:政治の起源(上下)

5:ゴールド

6:検証バブル―犯意なき過ち

7:円とドル

推薦図書:円とドル

ドルと円が取引を始めた幕末から昭和のバブルの始まりまでの正確な記録



推薦図書:検証バブル―犯意なき過ち

推薦した2冊の本( 石井独眼流実戦録 & 日本証券史(3) )に書かれている時代の後の日本に何が起こったかの詳細な記録

金融バブル崩壊後の処理のプロセスを学ぶには良い記録だ。

一番のエッセンスは、下記部分だと、今回感じた。
信頼こそが、金融の一番の財産だ。
それを失うことは、現に慎むべきである。



過去の事件に関して、詳細なデータと証言を用いて、良質なまとめた本をつくるのは日経新聞の得意分野だと思う。



推薦図書:ゴールド

本のタイトルは"金、Gold"である。
何故、人類はGoldに魅せられ、その虜になり、その呪縛に苦しんだか、、その歴史である。数量に限りがある物質・金属を通貨にしようした場合、それが経済発展を制限する要素として作用する様子が教訓として描かれている。

別の観点から見れば、人類の経済の発展が、
(1)物々交換経済
(2)前期貨幣経済(金属貨幣)、
(3)後期貨幣経済(金本位制)、
(4)現在(金本位制崩壊後)、
という変遷をどのようにたどってきたかが、金融・運用の専門家の立場から見事に描かれている。
特に第17章以降の記述は素晴らしい!

物々交換経済の時代は、相手の提供する商品の価値をどの程度信用するかが重要であった。

金属貨幣の貨幣経済の時代は、商売、貿易(=交換)に使用する媒体としての金属貨幣の価値をどの程度信用するかが重要になった。しかし、問題は取引規模が増えても、それに比例して金属貨幣(金貨)を増やすことが出来ないため、経済発展のスピードが金貨の鋳造速度で頭を押さえられることであった。



その後、ゴールド・ラッシュなどの金の生産の飛躍的な拡大と、経済の爆発的な拡大が起こった時、『いざとなれば金と交換しますよ』よいう約束のもと信用貨幣、信用紙幣を利用することに踏み込んだ。そして、たまたま金本位制という制度として安定的経済発展状態が出現した。しかし、金本位制は好調な経済の結果であり、金本位制が安定的な経済の基礎では無いことが露呈する。これで徐々に金本位制は崩壊するが、『金本位制が安定的な経済の基礎』であるという妄想が1920年代から1930年代の経済の大混乱と第二次世界大戦を引き起こすことになる。

しかし、金本位制崩壊以降に関しては不満が残るところである。
その点に関しては、この本は『新しい金融論』とセットで読むと価値が高いと思われる。
何故なら、『新しい金融論』が、(4)の時代を信用経済の時代として描いてくれているからである。

推薦図書:政治の起源(上下)

株式市場は、各国の政治・経済・文化の上で価格形成されている。
その政治部分の超長期の流れを知るための良書





推薦図書:サブプライム問題とは何か

2007年10月に書いた春山の処女作   
ITバブル崩壊後に世界で何が起こったのか?
良かれと思って生まれたサブプライム住宅ローンが悪用されてしまった歴史の流れ
金融政策の変化が生み出す経済の上下動
バブルが崩壊する時に起こったことの詳細
 



下記は、本の執筆にまつわる話などを書いたブログ記事です
(目次) サブプライム問題とは何か

推薦図書:日本証券史(3)

天才相場氏の石井氏(石井独眼流実戦録の石井氏)もその本で語っています。
まず第一に過去を知らなくてはならないと思いました

日本証券史は、明治から90年代のバブル崩壊までをカバーした書籍である。その時、何がどうであったかを記録した一級の資料である。

特に第三巻は推薦本!
令和の日本株投資を上手に生き抜くヒントがたくさん書かれていおます




まずは、3冊を一気に読んでいただきたい。
そして、テーマを決めてじっくり読んでいただきたい。
最後は辞書として座右に置いて、いつでもチェックしていただきたい。

きっと、今が透明に見えるようになると確信しています。

推薦図書:石井独眼流実戦録、かぶと町攻防四十年

戦後の日本株の歴史を知る資料・記録として、手引書として、日本の誇る日本の誇る名著である



2020年3月17日火曜日

春山ルール 51 : ファンクラブの買いは「一回限り」

2020年3月16日現在、市場はファンクラブ領域にある。
非常に安い状況なので、ここが最安値だと感じて買い出動したくなる。
しかし、春山ルール47で述べたように、最安値だと思って買いを入れても、その後にさらに下がるとナンピンしてポジションを増やす、もっと下がると、また買う、結局大底のかなり手前で資金を使い果たしてしまうという状況に陥ることが多い。
中上級者でない限り、ファンクラブ領域での買いは一回だけにした方が良い。
そうすれば、自分の最安値判定能力もわかるし、大切な資金も温存できる。そして、モリモリ・サインが出た時に自信を持って買う資金的&精神的なゆとりも維持できる。

2020年3月15日日曜日

春山ルール 50 : 暴落時の銘柄選択

暴落中は、景気敏感銘柄や高いリターンを投資家が期待しているような高PER銘柄などのハイリスク・ハイリターン銘柄はインデックス以上に大幅に下落する。
投資家が一斉に逃げ出そうとして我先にと売却を急ぐからだ

一方、電力・ガス・通信などの高配当銘柄や生活必需品関連の安全銘柄の下げは軽微にとどまる。

暴落はどこかで大底に達し、その後は反発相場に転ずる。
それを合図に、パフォーマンスの優劣が逆転する。



だから、大底を過ぎたら、下図に示されたような対応をした方が、その後のパフォーマンスが改善する。
ノンビリ・ペースでしか上昇しないような安全柄を持っていたら、大幅に下落したハイリスク・ハイリターン銘柄にシフトするのだ。




ただし、話はそれほど単純ではない。
ハイリスク・ハイリターン銘柄が大暴落したのは「ビジネスがボロボロに崩壊する」という懸念を投資家が抱いたからだ

大暴落の時は、全てのビジネスがボロボロになってしまうという恐怖にかられるので、何でもかんでも売られてしまう。
しかし、大底をつける頃から投資家は徐々に冷静になり、「コレはダメだけど、アレは大丈夫」という選別作業を始める。同時に企業からも被害状況の有無が発表され始める。

その結果、大幅下落したけども「それは杞憂に終わる」と投資家が判断した株は、急速に反転上昇を始める
一方、「大幅下落したのは当然だ、被害の現状と将来を推定すれば現状の株価は妥当だ」と判定された株は横ばいで推移してしまう



だから、投資家はしっかりと情報を判断して被害株から杞憂株にスイッチしなければならない。
暴落株のすべてが急速リバウンドするわけではないのだから。
なお、通常は被害株は少数で杞憂株が多数であることが多い





2020年3月14日土曜日

暴落したら頭をリセット

暴落したら、頭をリセットする必要がある 人間の脳は「現状から少ししか変動しない」前提で思考する仕組みになっている 大変動時には投資戦略の基本部分を組み替える必要が生じる場合がある だから、全てを白紙から再検討して、新戦略を練る必要がある

~~~ 現状から少ししか変動しないという習性があるので、大幅変動(大幅な上昇や暴落)を想像することすらできない。このような傾向は心理学的にはアンカリングと呼ばれている 参考:ウィキペディア、アンカリングhttps://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%B3%E3%82%AB%E3%83%AA%E3%83%B3%E3%82%B0

消費に懸念が生じた中国

コロナ・ショックによる株の下落を比べると香港・中国は日米欧よりも小さい
そして、コロナ・ショックから最初に回復する中国香港株が世界をけん引するという期待も聞かれる



2020年初来の下落率は低いのは確かだが、この数年を見ると香港中国は低迷が続いているのだ。長期低迷の背景は業績の低迷
下図に示されたように、2015年以降上海インデックスのEPSは低迷が続いているのだ。
業績が改善しない限り、株価の上昇は短期の間欠泉で終わる。
2015年3月でピークアウトしたプチ・バブルが、まさにそれだった。




中国経済をけん引してきたのは個人消費だ。その背景には賃金の高い伸びがある
下図にあるように沿海部の賃金は+8%で安定的に伸びてきた。



その賃金の安定上昇に懸念が生じている
賃上げを抑制して雇用を守る、という政策を実施することに北京政府は舵を切ったようだ。
これは、「全員貧乏で平等なら不満は無し」という共産主義の考え方なので中国的には問題が無いのだろう。

賃金の低下で最も悪影響を受けるのが裁量消費分野(=非生活必需品)である。
自動車、住宅と大型家電(冷蔵庫、洗濯機、エアコンなど)が代表だ。既に保有している自動車や大型家電をもう少し長く使い続けたり、今の住宅からの住み替えを先延ばしするという行動(=買い控え)が起こるのだ。




株式市場は不満だろう。
賃金低下は消費の低下を通じて業績の下方修正につながるからだ。

しかも、現状の株価水準はフェアより「やや高い」可能性があるのだ。
北京政府の暗黙の指令による「株式の買い支え要請(90年代の日本のPKO)」が存在するだろうし、HMA(香港の中央銀行)もリーマンショック時の大量の株式購入を契機に、以降は株式投資に熱心であることも有名だ。
90年代の日本を知れば、意図的な買い支えは無力だと言うことは明白だろう。

なお、コロナ・ショックが終われば、米中貿易戦争の交渉が再開する。
既にトランプは行動を開始しているのだ。


以上のようなことを考え合わせれば、中国香港株の上昇を2020年の運用戦略の中心にすることは避けたいと春山は思う。
無論、個別株の話は別次元だ。低迷する市場であっても大活躍する個別株はどこの市場にもあるのだから

2020年1月14日火曜日

物とお金の関係を図にすれば

過去3回にわたって書いたこと・・・
1:
投資マネーは実体経済よりも早めに動く
2:投資マネーは実体経済のファンダメンタルの振れ幅以上に激しく動く
3:投資マネーは、実体経済よりも熱しやすく冷めやすい・・・をまとめて図にすれば、下のようになる

株価は、投資マネーに翻弄されて、企業業績の変化よりも早く大幅に節操なく、上下動するものなのだ。



特に循環株に関しては上記のような株価の動きを体得してから資金を投じることが重要だ。メディアのニュースを見ながら売買すると、後手後手になってしまい、損失一直線に陥ってしまうだろう。

上がる時は1年で2-3倍もザラなことも循環株の特徴だ。だから短期間で資産を増やそうと思うなら循環株投資を体得したほうが得策だ。
しかし、美しいものにはトゲがある、、、それが循環株なのだ

2020年1月13日月曜日

お金は熱しやすく冷めやすい

1:投資マネーは実体経済よりも早めに動く
2:投資マネーは実体経済のファンダメンタルの振れ幅以上に激しく動く
の続きです

投資マネーは、実体経済よりも熱しやすく冷めやすい
投資マネーは、特に循環株に投資する資金は、過去のパターンやサイクルを勉強して熟知しているので、先読みが得意だ。この先はどうなるかを我先に連想して投資マネーは動いている。つまり温故知新が高レベルで機能する世界である。

一方、企業経営者は慎重だ。一旦設備投資を決めたら、土地の確保、採用の計画、規制遵守のプロセス、資金調達の計画、様々なことを順次こなしていかなければならない。
しかも1-2週間後に風向きが変わったので損切撤収などという投資マネーのような手のひら返しは不可能だ。

だから、下図に示したようにサイクルの上昇角度、下落角度、そのタイミングは大きく異なってしまう。



特に循環株(日本株の多数がコレに該当する)に投資されるマネーの場合は初期反応が急速でしかも短期間に発生する。
この速度感について行くのが循環株投資の重要なポイントだ。

アベノミクスの始まった「野田VS安倍の論戦」翌日からの半年間の状況はまさにソレだったのだ。

2020年1月12日日曜日

ファンダメンタル以上に、お金は“激しく”上下動する

早すぎる買い、
ここぞ!と思って買っても、その後も大きく下がってがっかりすることは多い

早すぎる売り、
大幅に儲かったし相場に過熱感もあるからここで脱出すべきだと判断して売りを実行しても、その後の結構な値上がりをみて悔しい想いをすることも多い

これらの「早すぎる買い&早すぎる売り」の要因は、企業のファンダメンタルに対応した冷静過ぎる投資判断だと思う。

前回ブログで「投資家(投資マネー)は実物経済のサイクル(=ファンダメンタル)よりも早め早めに転換する」と解説した。
それに加えて
投資家(投資マネー)はファンダメンタル以上に激しく上下動する性質をもっている。
その性格を反映して、株価は強欲投資家の願望によって天高くオーバーシュートするし、過度な悲観によってとんでもない安値までたたき売られるのだ。

  

早すぎる買いをする投資家は、「業績の悪化以上の株価の下落には悲観した投資家の逃げ出し売りが引き起こすPERの下落」があることを軽視してしまう。
例えば、平時は15倍のPERが10倍に下落するような落胆相場だと・・・
最悪予想EPS:200円 × PER:15倍 = 株価:3000円
最悪予想EPS:200円 × PER:10倍 = 株価:2000円
・・・のように株価の底値が大きく違ってくる

早すぎる売りで悔しい想いをする投資家は、「業績の上昇分以上の株価の上昇には強欲投資家の期待を背負ったPERの上昇」があることを軽視してしまう。
例えば、平時は15倍のPERが20倍に上昇するような楽観相場だと・・・
予想ピークEPS:300円 × PER:15倍 = 株価:4500円
予想ピークEPS:300円 × PER:20倍 = 株価:6000円
・・・・というピーク株価の差になる

このようなPERの大きな変動は循環株の特徴だ
10倍→20倍→10倍というような変動は常に見られる。
加えるに、循環株のEPSは大幅に上下動する。100円→250円→100円、などのように
だから株価は、1000円→5000円→1000円のように激しく上下動する
これが循環株だ。

そして日本の市場に上場されている株の多くは循環株だ。
だから日本株の投資判断に際しては、ファンダメンタルに加えてチャートを活用することで補正したほうが良いと思う。

2020年1月10日金曜日

お金は早く動く 1-2月は日本株の正念場

野田VS安倍の党首討論から始まったアベノミクス相場の初期は、「1年後の利益の大幅な増加を予想した」投資家の腰の据わった買いで始まった。
アナリストの予想利益の書面による上方修正の発表を待たずに、投資家は利益の大幅増加を確信して株価を買い上げた。その結果、アナリストが修正しない状態での予想利益に基づくPERは大幅にジャンプアップした(緑丸部分)

2019年10月以降も似たようなPERの上昇がみられる(上図の青丸内) アナリストの公表ベースの予想利益は下図(緑枠&桃色枠)のようにダレダレ下落のままだ
今回も投資家の株の買い上げ行動は当たる(=アナリストが後から業績の上昇収益をする)のだろうか?



日本は循環株(景気や政策で利益が上下動する)が多く上場されている国だ。
景気などのサイクルは3-5年で上下動を繰り返す。
20~30年も相場を見ている循環株に精通した投資家は、この辺までくればというサイクルを考えて、買い出動したり撤退したりを上手にやっている。

つまり投資家(投資マネー)は下図にあるように、実物経済のサイクルよりも早め早めに転換する。




今回も投資家の株の買い上げ行動が当たるとすれば、これから始まる決算発表で経営者が弱気のトーンを小さくする(=Less Negative)言動が出ることになる。 もし、経営者が投資家の先走りにも関わらず、More Negativeなトーンであれば期待裏切りの一転反落となってしまう。 1-2月は日本株の正念場なのだ。