2017年5月31日水曜日

確信度が増すから株価が上がる

何もニュースが出ない。
その企業に関しても、セクターに関しても、影響を与える新しい情報はない。
にも関わらず、株価がジリジリ上がる。
その背景は何だろう?

一年後は20%増益するだろうと予想されている。
しかし、それはあくまでも予想だ。

明日のことよりも、1っヶ月後、半年後、1年後と、遠い将来になるほど予想が当たるか外れるかの不安定度が増す
 将来の事ほど確実度が下がる

不確実であれば、20%増益を
額面通りには受け取らない例えば、12%分しか株価に織り込まないのが投資家だ。
しかし時間が経過して、1年後の予想が半年後の予想に近づいてくると、以前は12%しか織り込まなかったのが18%まで織り込むようになる。
その結果、6%分だけ折り込みが進むと、6%株価が上がる。

これが、何もニュースが無くても時間が経過するだけで株価が上がる要因だ。

後退する米国の軍事力(ハード・パワー面)

(1)世界的に見れば中東アフリカ問題の方がはるかに実害が拡大しており、解決も複雑怪奇だ

中東には、中国のような覇権的なキャスティング・ボードを持った国家が存在しない
一方北朝鮮は、いざとなれば中国が殺傷与奪の権利を行使できる

日本は北朝鮮の核ミサイルの直接の被害国になる可能性がるので、日本のメディアは北朝鮮問題に偏重している。
しかし投資家としては、世界的に影響の大きい中東アフリカ100年戦争問題に関するアンテナを高くしておく方が良いと思う。





(2)北朝鮮問題に関して・・・使える武器、使えない武器

武力は、威嚇としてしか使えない。
北朝鮮としては、先に手を出したら、「待ってました!」と米国から倍返しで瞬間壊滅攻撃される、という状況だ。
米国としては、先制攻撃するには国際社会、特に中国とロシアの同意を得なければ攻撃後の後処理が泥沼になるというリスクがある。
現状では、米国の空母や北朝鮮のミサイル・核兵器はチキン・ゲームの道具という位置づけなのだ。

一方、使える武器もある。
米国側には、経済(貿易、金融)制裁という武器がある。これは使えるし、効果も大きい。
北朝鮮側には、サーバー・テロがある。サイバーテロは現状では武力行使とは認識されていないから、米国の倍返し攻撃を受けない。

北朝鮮は独裁国家なので、国民の不満が爆発する直前までは何をやっても国民が政権の基盤に影響を及ぼさない。しかし、米国のような民主国家の有権者は短視眼的で国際情勢に関心が薄く、遠い国への米国の関与を嫌気しやすい。そんな有権者への配慮もしなければ政権の維持が出来ないのが米国だ。そんな民主国家の弱点を利用しつつ北朝鮮はチキン・ゲームを遂行している。

経済制裁だが、どの国も鎖国しては生きていけない。特に北朝鮮はそうだ。
軍事物資は輸入しているし、資源エネルギー、食糧も輸入が多い。
北朝鮮国民の不満が高まることは金政権維持、特に金政権の正当性維持の最大の懸念ファクターだ。

3月以降、ガソリンの供給不足が起こり、ガソリン代の高騰と2-3時間待たねば給油できない状況が起こった。今後、食料品不足が拡大し、闇市でしか入手できなくなるなどに及べば政権維持の難易度が高まるだろう。

経済制裁とは、いわゆる兵糧攻めだ。北朝鮮国民と支配層の多くに対してジワジワと確実にダメージを与える戦略だ。
実は、歴史上でも多くの戦争は兵糧攻めだ。むやみに戦って味方の人的被害や戦費を拡大させることを避けてきたのが人類の戦争の歴史だ。

(3)貿易と金融は、飴と鞭
1:自国市場を相手国に開放して、相手国の商品サービスを販売させて経済的利益を与える
2:経済を発展させたいと願う国が希望するモノを輸入するために必要な貿易決済資金(現在はUS$)を提供する
3:貿易や金融の国際間の決済に関する金融制度を利用させ便宜を供与する

1、2、3を停止することは、その国に経済的被害を与えることになる
特に一旦提供していた便益を切られることは、それを当然のこととして経済運営している相手国に大きなダメージを与えることができる。

影響力を行使できる国とは・・・
1:豊かな国内市場があり、相手国の商品サービスを受け入れる素地があること
2:貿易収支、経常収支などの黒字があること
3:貿易金融制度を支えるハード&ソフトのインフラを保持していること
・・・こういう国が、外国に対して飴と鞭の影響力を行使できるのだ。

米国は、かつては1、2、3のすべてを保持していた。
しかし現在は、貿易赤字が膨らみ、トランプ大統領がアメリカ・ファースト(=貿易不均衡の是正)を唱えており、市場の開放という餌を提供するパワーは劣化している。
資金の提供に関しても基軸通貨国であるがゆえに、自分で印刷したドル札を供与すればよいという利点はあるものの、その余裕は陰りを見せている。
貿易や金融の国際間の決済に関する金融制度に関しては、米国は今でも強力なルール決定力&支配力を保持している

一方、中国は13億人を超える人口を武器に影響力を拡大し始めている。
北京政府や地方政府が押し付けてくる多少の不自由や理不尽さには眼をつぶっても、巨大な中国市場へのアクセスから得られる便益を維持拡大することは多くの国にとっては「何物にも代え難いのだ。

同時に中国は、巨額の貿易黒字で得た外貨(=US$)を使って、アジア・アフリカ諸国向けに巨額の資金援助やインフラ投資を推進している。

さらには、中国自らが音頭を取って発足させたAIIB(アジアインフラ投資銀行)を活用して中国がルール策定権を支配する貿易や金融の国際間の決済に関する金融制度を作り上げようとしている。

(4)今の北朝鮮に影響を与えることができるのは中国
貿易&経済の対中国依存度は、北朝鮮は90%以上が対中貿易で死活問題レベルだ。
韓国も大きくて輸出の25%が対中国だ。日本は隣国としてそれ相応の18%だ。
中国から貿易面で締め出しを食らったら北朝鮮は即死するが、米国から締め出しを食らっても悪影響は無いに等しい
資金援助に関しても、米国は引き上げるべきもの(=悪影響を与えることができるもの)を有していない。
 
唯一米国が北朝鮮に影響力を行使できるのは、US$を使う交易決済を妨害することだ。
欧米の銀行に対して北朝鮮との取引を厳重に制限しているのはそういうことだ。
この点に関しても、この数年間中国が進めている「US$を介さない貿易決済、人民を使った貿易決済」を受け入れる国や企業が増えれば、米国の影響力は低下することになる。


 

(5)米中逆転がちらつき始めた

今回の北朝鮮問題で世界が気づいたのは、「中国の協力が無ければ北朝鮮問題は改善しない」という現実だ。
換言すれば、米国が中国の意向を無視してでも北朝鮮に対して軍事力を行使して政権を転覆させることができない時代になったという事実認識だ。
特に韓国の大統領が朴槿恵から文在寅に変わったことは、南北朝鮮全体が親中国化することを意味し、米国の示威的な軍事行動(共同軍事訓練など)が困難になることが予想される。

フィリピンと中国の争いでも、中国の「サンゴ礁の埋め立て&事実上の軍事基地化」を米国が阻止できなかったことによって、周辺国はアジアにおける米中の逆転への動きと認識してしまった。

この動きを逆転させるのは歴史の教えからすれば非常に困難だと言えよう。米中の力関係は複雑だが、いずれにしても両国の経済力の長期モメンタムがその帰趨を制することになるだろう。

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2017年5月29日月曜日

Microsoft Surface、恐るべし

一週間ほどPCの物色三昧をした。
結論は、今は購入見送り

しかし、物色を通じてMSのSurfaceシリーズの出来の良さを思い知った。
ユーザーが求める製品ってこうなるでしょ、を真面目につくるとこうなる、という製品だ。ユーザーが増えており、スタバでも見る回数が増えてきたのは納得できる。

価格はそれ相応になるが、望まれれる製品だから売れる
MS、恐るべしである。



こうなると他のPCアセンブラーは、Poorman's Surfaceを作るしかなくなる。
ASUSのTransBook T102HAは、まさに堂々と(恥ずかしげもなく)半値で出してきた製品だ、しかも本家の新型Surfaceが出る直前に、、、性能も半値なのでフェアな製品だ



1:Surface
https://www.microsoft.com/ja-jp/surface/devices/surface-pro/overview

2:ASUS T102HA
https://www.asus.com/jp/2-in-1-PCs/ASUS_TransBook_Mini_T102HA/

株価も好調に推移している


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2017年5月28日日曜日

価値を生み出す3分間

何故、そう思うのですか?
何故、わかるの?

5月の若者会でも質問された。

いくつか話した中で、「一個のことを三分間集中して考える」か重要だ。
ながら族でダラダラと考えるポーズだけで無為に過ごすのでは答えに近づけない。
この3分間の積み重ねだと思う、と答えたのがポイントだったと感じている。


ながら族できるが良い事、TV流してスマホ見ながら雑誌をチラ見する、みたいな状態が普通であって、何か一個だけに集中するのは、ダサイとか、イライラするとか、できないとか、そんな人が多数なのかもしれない。

そんな状態からは価値のあるものが生み出されないのが普通だ。
ダサクても集中しているから、価値が生み出されるのだ。
トイレに座った時にアイディアがひらめくのは、ながら族をやめた3分間ゆえだと思う。

2017年5月22日月曜日

投資は手間暇が報われやすい

真面目真剣に投資をするには、手間暇がかかります

そんなに手間暇かかるのは嫌だ。もっと簡単な方法が知りたい。
本屋に行けば、チョイチョイとやって、3年で資産が20倍、あなたにも出来る、みたいな本が沢山有るじゃないか、それを教えて欲しい

以前は、「あのねーアンタ、*+*+*@@*@+*」など色々と説明していましたが、最近は無理に話さず、相手が自分で認識するのを待つことにしました。そういう人は言えば言うほど意固地になって反発することに気づいたからです。

片手間では得られるリターンも片手間分だと春山は思います

個人が非職業として行う場合、投資やガーデニングは手間暇が報われる確率が高いと春山は感じています。
投資の成果は・・・
数字なので成果が目に見える。
客観的な評価である。
様々な比較がやり易い。
・・・という特徴、利点があります。



ガーデニングも、
端正込めれば植物はそれ相応に綺麗な花を咲かせてくれます


 一方例えば、個人が非職業としての提供する料理の場合は、自分の手間暇が相手からフェアに思われない場合もあります。
そもそも同時に別の料理を食べることができないという、比較困難性があります。
しかも、評価に関しては主観ファクターがとても大きいく、点数のような数値で表現もできません。


かなり昔ですが、こんな話をラジオ番組で聞きました。
泉谷しげるのラジオ番組だったかな?
遠い昔の記憶なので、人名が間違っていたらゴメンナサイ

美味しいもの出来たから食べに来てよ from 坂本龍一

出てきたのは小さなカップに入ったスープだ一杯だけ

エッ、これだけ?
不満だったけど先輩だから文句を言わずに帰った。


二日もかけて作った濃厚で複雑な味のスープだと理解したのは少し後だったのです。 。。と泉谷しげる

春山は、料理には進出せず、投資と園芸で満足しようと考えています。

高級品と普及品

このたび高級品も品ぞろえに加えました。
全体を質の高い高級品へとシフトしました。
このような高級路線シフトを打ち出す企業の記事を目にするが、成功したという続報が見られない。

高級品は利益率が高いの、そこへ進出して利益を増やしたいと思う企業は多い。
しかし、高級品ビジネスを研究して、高級で儲けるビジネス・モデルを実行している例は、上記の「高級路線にシフトしました企業」には見られない。

高級品はモノが高級(=高品質、上質)だけで売れるものではない
「購入時の店の雰囲気」、「購入後のアフターサービスの特別感」、「店員や担当者の上質感」を含めたトータルの高級感を高級品購入者は求めているのだ。

決して、高級品をアウトレットで半額で買う事で満足を得る人々ではないのだ。
ましてや、3980円の普及品と同じ陳列棚に一列だけ6万円の高級品が並んでいるような店で買いたくはないし、プラスチックの買い物かごに液体洗剤やスリッパと6万円のバッグを入れて会計するような状況で高級品を買いたいとは思わないのだ。

背伸びして高級品を一回だけ買いたい、、、という事はあるが、それは高級品のメイン顧客ではない

2017年5月18日木曜日

判断が嫌いな人

レストランの食事のメニューから旅先でのお土産、そして就職先まで人生は判断の連続だ。

人間は性格や得意分野が色々なのだが、判断することが嫌いな人がいる。
判断とは、複数の選択肢から一個を選ぶことで他を捨てることを意味する。

判断が出来ない人や判断が嫌いな人は、
1:他の選択肢を捨てたくないのだ。
2:選択肢同士の比較をすることをやろうとしないのだ。
3:比較した結果としての自分の判断を実行しないのだ。
4:判断が他人と異なるのを嫌い、周りの多くが選ぶまで待つだけで何もしない。

そういう人は、家や部屋が「ゴミ屋敷」になりやすい。
取捨選択の優先順位が決められないからだ。

投資は毎日が判断の連続だ。
しかも後に伸ばすことが出来ない種類の判断が多いのが特徴だ。

性格的に「捨てる」ことが嫌いな人は一定数いるものだ、モッタイナイ族からゴミ屋敷族まで。自分はそういう人間だと思う人は、投資以外に従事した方が良い人生を送れると思う。コレクターで世界的に尊敬されている有名人も多いのだから

2017年5月14日日曜日

宇宙飛行士は猫好きが多数、でも・・・

ABCという分野で成功した有名人を紹介する記事

***さんは、@@@という性格で、「早起き」を心がけました。

なんて記事を読んで、成功する条件は・・・
1:性格+++
2:早起きを努力する
などという法則化をしてしまう。

これは、春山の世界では「損失一直線の法則」と呼ばれている
( 中級以上の投資家にとっては常識と理解されている )

早起きという事に関して、図で考えれば簡単だ。
早起き=儲かるとは、下図のようなことだ


でも、以下の事を言ってはいない
1:宵っ張りは、儲からない
2:宵っ張りは、損をする
3:早起きは、損をしない


つまり、グレーで囲んだ事以外は言われていないのに、勝手に思い込んでしまうのだ
これが、事実誤認による判断ミスを引き起こし、「損失一直線」になるのだ


~~~~~~~~~~~~~~~
現実世界は、色んな場合がある


正確に観察すれば、世界は下記のように多様であることがわかる。


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2017年5月11日木曜日

求められないサービスは「百害あって一利なし」

顧客ターゲットの重要性
ビジネスを立ち上げた後に、ライバル社の機能をコピーする
サービスを増やすことが、充実だと誤解する
しかし、ターゲット顧客が使いこなせない、求めない、そういうサービスを増やすことは、既存顧客がそっぽを向くことになる。
しかも、お気楽でコピーした他社サービスは、他社にはかなわないから、新規顧客も増えない、
今朝のSNAPの決算に関する報道でも同様なことが解説されている ~~~~~ SnapchatとCEOのEvan Spiegelはそろそろ歴史から教訓を得るべきだろう。 なるほどSnapの反Facebook哲学は「消えるメッセージ」を産み出した。Facebookのチャットがメールに似て恒久的であるのに対してSnapchatのメッセージは24時間でタイムラインから消滅する。しかし手を加えない単純な新着順のStories表示はユーザーにとって非常に使い勝手が悪いものになっている。セレブや知り合いなどフォローしている相手の投稿の洪水に本当の友達からのメッセージが埋もれてしまう。
Snapchatのアルゴリズムを使わないフィードはユーザーを窒息させてしまうと先月私は警告した。 http://jp.techcrunch.com/2017/05/11/20170510snicker/ ~~~~~

2017年5月9日火曜日

マイクロソフトの復活

こんな巨大企業が復活する、、滅多にない

トップが変わることが、これほどの影響力を持つ
見事な典型例だ

2000年以降のマイクロソフトの低迷は目を覆うばかりだった。
既存の独占的な商品とサービスに胡坐をかいて、新天地に打って出るエネルギーを喪失した。

失うものが大きすぎる、巨大企業に共通する低迷の原因だ

2013年から何かが変わり始めた。
部外者には、無いが要因か、分からなかった。

( 下段チャートの黄線が上向き相場以上に上がっているを意味する )


Satya Nadella(サティア・ナデラ)が、2014年2月4日、ビル・ゲイツ、スティーブ・バルマーに次ぎ、三代目のCEOに就任した。
そう、これだったのだ。
就任前から、実質的に意思決定のバトンタッチが行われていたのだろう。

Satya Nadellaの開始した選択と集中は素晴らしい、、まだ現在進行形だ
春山が何回か言及している「既存の45を捨てて、未来の55を取りに行く」という新天地に打って出るエネルギーが復活したのだ。

Satya NadellaがCEOの間、マイクロソフトは強敵になったのだ、ライバル会社にとって


2017年5月8日月曜日

トランプ政権のまとも化

トランプ大統領の特徴はどんどん変化する言動だ
トランプ大統領は、強い政治的な信念に基づくベキ論者ではない。
こうする方が現実的に良い解決策になるという企業経営者的な判断プロセスに基づく現実論者、それがトランプ大統領のDNAだ

古き良き政治家の伝統や既存の政治家であるがゆえの呪縛にとらわれない型破りな言動が目立つので節操がないとか定見がないとか、大統領らしくないとか、頭が空っぽとか、色々言われる。
そんな風評は聞き流して、投資家としては
「こういう状況なら、何がどうなっていくか?」、
「その時、世界はどんな反応を示すか?」

を先回りして熟慮&判断しておく方が賢明だろう。


大統領に就任して以降に起こったことで重要と思われることを再確認したい。

1:Nuclear Optionの行使
米国では法案は議会が作成、提出、議論、成立させる。大統領には法案提出権はなく、「こういう法案を作って欲しい」という希望を表明できるだけだ。
また、米国議会の特徴は強行採決のようなことが事実上封じられている。上院においては、フィリバスターという「無制限演説権限」によって採決を不可能にできる。これを止めるには、上院の5分の3以上の議員(60人以上)の演説打ち切り賛成が必要だが、現在の共和党上院は52議席しかない。

ところが、4月7日に最高裁判事候補の指名に関して過半数の投票で議事妨害(fillbuster)を無視して採決ができるよう上院運営規則を変えてしまうという「核オプション(nuclear option」が発動された。

その直前まで、最高裁判事の任命で「Nuclear Option」が行使され、US議会が深刻な対立構造になるか否かは重要な国内政治ファクターとして議論されていた。
しかし、7日に「Nuclear Option」が行使されたことで、米国議会の慣例である「Nuclear Optionを与党が行使しないなら野党に対する一定の妥協を前提に重要法案の成立を妨害しない」という紳士協定が崩壊した。

今後、野党民主党は、重要法案に対して徹底抗戦をするだろうから、重要な法案ほど成立が不可能になる。

下記は、4月8日日経朝刊

フィリバスター制度に関しては下記URLを参照


2:金融規制緩和の政策、財政出動の大幅増加政策の失速
オバマ政権によって導入された金融規制を撤回するという公約は大幅に後退した。トランプ大統領の口から、銀行と証券を分離するという発言まで飛び出す始末だ。
コロコロ変わるのがトランプ大統領だから、今後の方針も変わる可能性があるが、金融規制の撤廃はとん挫してしまったと判断してよいだろう。

また、政府支出の大幅な拡大によって、道路や港湾などのインフラ近代化を実施する、メキシコとの国境に壁を建設する、などの大規模公共投資も大幅な変更を余儀なくされている。
財源と目されていた、オバマ・ケアの縮小による支出削減、対メキシコ&対中国への輸入関税による収入増加、いずれも消えてしまった
財源が消えたのだが、それに代わる代替財源として国債の大幅増発は、民主党の抵抗があって簡単ではない。


2008年ごろからの世界的なトレンドは、乱痴気騒ぎで一般人に大迷惑をかけた金融業界の行動を監視し企業経営のモラルを回復させることだ。
そのために始まった金融機関に対する規制強化は、三歩進んで二歩下がる的なジグザクはあろうとも、そのトレンドは継続するという事だろう。


先進国における政府の税収不足が解消して財政支出による景気拡大という時代が来るのはまだ先だという事だろう。
金融規制強化と財政出動の制限はメガ・トレンドデアリ、反転は困難だと考えるのがよさそうだ。

3:嫌中国から親中国へ方針転換
米国の貿易赤字の半分は対中国貿易の赤字だ。
中国を為替操作国に認定するとか、中国からの輸入品に35%の関税を課すとか、過激な発言をしていたが、それを実行するための法的手続きが困難であること、しかもそれでは貿易赤字を解消できないことが判明してきた。

同時期に北朝鮮の核開発、大陸間弾道弾ミサイル開発を中止させるには、中国の力を借りるしかないことも明らかになってきた。

これを契機に「嫌中国」は撤回され、「習近平は立派だ」などのヨイショ発言も飛び出すなど中国との協調路線に転換され、為替操作国認定と輸入課徴金は消えていった。
南シナ海で米海軍が行っていた「航行の自由作戦」(中国が建設した人工島の近くで米軍艦船を航行させる)に関しても中止されるに至った。


3:消えた親ロシア
中国よりもロシアが好きだ、プーチン大統領には共感できる、と語っていた親ロシア的な態度は、政権チームの一員が規律違反を犯して解雇処分になるという不祥事に加え、ロシアがどさくさに紛れて北朝鮮との関係を強化する動き(万景峰号をウラジオストックへの定期航路として受け入れる)を見せたことから、一気にトーンダウンした。
ロシアのプーチン大統領の発言にも、トランプ政権への期待から失望へと変わったことが現れている。
NATO、中国、USに対抗するためにロシアは軍備の近代化&強化が必要だが、資源エネルギー価格下落後のロシア経済に見合った軍事費に縮小せざるを得ない状況に陥っている。
その結果、核兵器への依存度のさらなる上昇が明確になっており、米ロ間の軍縮条約に違反する行動も起こり始めている。


4:バノン排除で言動の自由を得たトランプ政権
トランプは国際政治に関する凝り固まった既成概念を持たない状態で大統領になった。その意味では前例のない柔軟性を持っている。

トランプ政権発足以来の変化は、正常化(トランプの進化)だと思う。
側近中の側近であったバノン氏(強硬な極右的差別論者)を国家安全保障会議から排除(4月5日報道、下記URL参照)したことが、政権の性格を良い方向に変えた。

それ以降、世界の政治経済&株式市場にとってはpositiveな変化が続いている。

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2017年5月7日日曜日

民主主義を活用するトランプのDNA

民主主義の選挙制度は、誰でも一人一票だ

男女、年齢、社会に対する貢献度、支払い税額、そんな事を考慮しないのが、民主主義選挙制度の特徴だ。

その
民主主義選挙制度をフルに活用したのが、トランプ大統領だ。
彼の考え方のベースになるのは・・・

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
海外にどう思われようが、カマワナイ、海外は有権者じゃない、アメリカ・ファーストだ

有識者層、お前らは少数派だ、有権者の多数は、物事を良~く考えることが嫌いなんだ、
3分間も連続で熟慮できる人は少数派だ

娯楽に金を払う有権者は、100%、ニュースにお金を払う有権者は、1%
娯楽を検索する有権者は、100%、政治経済を検索する有権者は、1%

有権者の99%は、政治経済の事はTVで知る、有権者の99%はTV報道に支配されている、真偽など調べない、この現実を利用するのが政治家だ
99%にとっては、真実か否かは重要では無い、刺激的か、面白いか、それが重要だ、メディアを有効活用する政治家は、それを理解すべきだ

twitterは、都合の良い情報を流すのに最適だ、twitterを支配すれば良いのだ、それが政治家だ

メディアは視聴者に対しては無料が原則だ、広告主からの収入で経営する、広告主は多数にリーチしたい、多数とは有権者の99%部分だ
メディアのターゲットは有識者ではない、政治や経済を検索する人ではない、ましてやニュースにお金を払う人ではない

無料メディアのニュースは、ニュースではない、バラエティ化されたニュース・ネタだ
視聴率が第一だから、有権者の99%に受ける内容に事実を都合よく編集する
 
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

旧来の政治家もトランプ同様に、99%の有権者の政治経済レベルの低さを認識している。しかし、それをとことん活用(悪用)するような悪人にはならなかった。

特権階級が一般庶民に対して設定する「別世界に住む自分たち庶民階級に対する境界線、または進入禁止ライン」と引き換えの「踏みとどまり」のような道徳観であった。トランプは政治的な特権意識を持たないが故に、踏みとどまりの道徳観を持たない。だから、 99%の有権者の性癖をフル活用して選挙戦を戦った。

選挙公約を実現したかどうかを、99%の有権者がチェックするだろうか?
手間暇かかるチェックなどしない人が大多数だろうし、TVやtwitterのトランプの発言を信じ続けるだろう。

トランプは公約した政策を妨害する陣営を悪役にしつらえるだろうから、トランプを表立って非難する有権者は、もともとのトランプ嫌悪を除いて、あまりいないだろう。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

このようなメディアの効果的な活用と情報操作に対して、反対陣営や1%の人々はどうやって対抗するのだろうか?
真実を知る努力をしない99%の有権者に対して、「トランプは間違っている」と説得できるだろうか?

もしかしたら、民主主義的には1%の考え方の方こそが間違いだという理解が正しいのかもしれない

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2017年5月5日金曜日

政治とは分配

政治は統治者と被統治者で構成される

統治の正当性は被統治者の同意に依存する
同意が積極的だろうが消極的だろうが、同意とは「統治者による配分を受け入れる」ということだ
権力の配分、権益の配分、富の配分、政治とは統治者による配分コントロールである。

歴史的には配分は武力による侵略によって得られる富を配分してきた。
しかし、現代は武力侵略が事実上不可能なので、貿易と経済、金融によって配分可能な富を得るしかない。

現代の政治家が、
「経済だよ問題は、経済!」と言われるのは、そういう事である。
経済政策、景気を良くする、企業業績を向上させる、所得を増やす、これらによって「被統治者から統治の同意を得る」しかないのが現代の政治家なのだ。

しかも、「富裕層から奪って配分する」のは一回だけしか有効ではない。

一回配分すれば、配分する富が消えるからだ。だから、非常手段としてしか使えない。

現代政治家には打ち出の小槌がない。
王道で経済を良くするしかない。
奇策は通用しない。
だから、与党も野党も経済政策に関しては、似たり寄ったりになってしまうのだ。
経済とは「結局、こうするしかないでしょ!」という意味では世界共通なのである。

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2017年5月1日月曜日

目次:2017年春の100%キャッシュ化とその復活


<< 復活への道 >>

政治的な側面_2(メガトレンドは反転困難)のフォローアップ(5月2日)

US経済:金利が上がって自動車はヘロヘロだが、住宅はまだOK(4月21日)

60%宣言(4月20日)

US株の好調なパフォーマンスは続く(4月20日)

IT,消費は復活 VS 金融は落っこち(4月20日)

Worst is Over でも慌てる必要はない(4月20日)


トリガー部分のWorst is Over(4月20日)

US=機関車、 中国 is not、この構造は変わらない(4月20日)

これが、センサーからの情報(=復活準備指令)だったUS株は、ITと消費はOKだろう(4月19日)

ロシアはどっちに転んでも良いように権益確保へ(4月19日報道)



<< 撤退とその後の観察 >>

現金100%へ至る記録

いつ買うの_1


~~以下はFBへのリンク、ブログを書くまでの作業場、どこかの時点で消えます~~


争点(トランプ勝利による金利上昇の縮小)

争点のフォローアップ_1

争点のフォローアップ_2




<< ファンダメンタル >>

ファンダメンタル_1(中央銀行そろい踏みの緩和の終焉)

ファンダメンタル_2(アキエ・ディスカウント)

ファンダメンタルズ_3(自動車販売)

ファンダメンタルズ_4(自動車&住宅)

ファンダメンタル_5_自動車サブプライム・ローンだけが問題


<< 政治 >>

政治的な側面_1(Nuclear Option)

政治的な側面_2(メガトレンドは反転困難)

政治的な側面フォローアップ_1


<< 相場の局面 >>

相場的なこと_1(3回目の利上げ)

相場的なこと_2(ゾンビの死亡)


<< 不安を増長させたトリガー >>

トリガーは、2個あった(1% & プライベート)

トリガーのフォローアップ_1

トリガーのフォローアップ_2


トリガーのフォローアップ_3

トリガーのフォローアップ_4

トリガーのフォローアップ_5

トリガーのフォローアップ _6

トリガーは、2個あった_2(プライベート事情)



~~~~~~~参考過去ブログ記事~~~~~~

この3個も、今後を考えるうえで、「再読して今を熟慮」しなければならない、と思っている。

お前は、ここから出発した、そして今、ここに来た、その出発にあたって書いた過去のブログ


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週替わり、月替わり、心変わり

週や月が替ると相場が変わると言われる。

何故変わるのか?
相場の中にいると雰囲気に飲まれる、支配される。
えっ、それちょっと違うんじゃないと思っても、周りの熱狂に逆らえずに自分自身もメダカの大群の一員になって同じ方向に動いてしまう。

相場が動いている時は様々なニュースや思惑、観測記事が飛び込んでくる。3分と冷静になって熟慮する暇がない。
つまり冷静になって考えて行動するよりは、条件反射的な行動が多くなるのだ。

勢いトレンド・フォロワー的になってしまう。

週替わりの境目は土日、
2日間も相場がない。
一週間を振り返り翌週のことを考える時間だ。
考える時間とは、冷静になる時間だ。

冷静になれば、「あれ、何故あんな銘柄がここからもっと上がる」なんて考えたのだろう、、などと場中とは違う判断ができるようになる。

~~~~~~~~~~~

昔から、休むも相場、と言われるが、それは「休んで冷静さを取り戻そう」ということなのだ

なお、ブローカーがある銘柄を売ったらすぐに「今度はコレを買いましょう」と畳み掛けるのは、投資家に冷静になる暇を与えないためである。。。それはブローカーの長年の経営上の知恵なのである。
まあ、そこんとこは「あんたも仕事の立場があるからねぇ」と理解して、シカトしましょう。

4月と5月の境目は週末と月末がダブルだったし、今週はGWだ。

投資家は冷静になるでしょう。
冷静=売り、、ではないけどね

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