2016年11月7日月曜日

2017年を考える_4 : アジア

アジアのリーダーとしての自覚と責任を持たされる苦しみに直面する中国

<中国>
中国は世界初の中央集権国家(秦)以来、広大な国土と周辺地域を圧倒する人口を擁する強力な官僚制中央集権国家として、「自分は世界の中心である」というDNAが醸成され今日に至っている。

過去は、広すぎる国土&多すぎる人口という条件も相まって、周辺諸国を直接支配するには経済&軍事能力が不足していた。

その結果、中国は文化的な優位性で周辺国を圧倒することで精神的に満足する状況だった。それは決して相手を対等とは認めない精神構造だが、現在の中国共産党政権まで面々と続いている。

しかし今や、経済力はUSに次ぐ世界第二位の経済大国になり、核兵器の保有を含め軍事的なパワーは周辺国を圧倒できるレベルに到達した。
周辺国に対してUSなどの大国が、対中国で同盟的な実力行使的な動き(=現実の行動)をしない限り、中国の実効支配はジリジリと地理的な拡大をするだろう。

ベトナム戦争での事実上の敗戦を機に、インドシナからUSが抜けた(撤退した)ことによって生じた「権力の空白」を、伸び盛りの中国が埋めるのは、歴史的に妥当だと考えるべきだろう。


その過程で、中国がアジアのリーダーとしての自覚と責任感を持つのか、そうならずに大きな駄々っ子のままなのか、習近平の10年間はその方向性を決する10年間になるかもしれない。



<インド>
中国とアジアのリーダーを競った(=名誉の重視)マンモハン・シン首相から実利を追求するナレンドラ・モディ首相にバトンタッチして以降、国内経済発展に注力する姿勢は評価できる。
モディ首相は「インド版鄧小平」と後年評されるかもしれない。

<ロシア>
複雑なロシア
欧州にあこがれるも、モンゴルの専制政治のDNAを吸収した結果、支配層が自ら「社会をトップダウン的に民主化する」インセンティブを持たず、かといって欧州のような「商工業の発展によって新興富裕層が生まれて、彼らが民主化を要求する」ことも起こらなかった。

その後、共産主義ソ連とその崩による混乱時代(エリチィンを含む)、そしてプーチンの長期権力時代と変遷したが、一貫して非民主国家、独裁国家であったと判定できる。

歴史的に数多くの異民族の侵略を受けて来たため、被害妄想的な精神構造になってしまったロシアは、 弱い自国(=と自己認識している) を守る ためには領土に関して一切の妥協をしない強硬な態度に固執するようになっている。

<日本 VS ロシア>
北方領土問題は、ロシアの立場になって考えると論点が明確化する。
1:平和裏に領土問題が解決するには、金で買い取るしかない
2:過去のいきさつ、歴史的経緯よりも、現実の実効支配が重要だ
3:プーチンは主権を放棄しないと言っている、買取価格の引き上げの為と言えども

日本政府としては、「頑張ってます!」というポーズを主にしつつ、経済開発は実利を取る経済計算に立脚することが妥当だろう。

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