2016年6月12日日曜日

デジタル・リアルの世界

20世紀にグーグルの検索エンジンによって急速に拡大した「全員に開かれたインターネット」は、21世紀になってリアル世界と同様に「仲間内でクローズされたSNS」に中心が移ってきた。

歴史的に見れば、情報が全員に分け隔てなく公開される方が稀である。グーグルはこれに挑戦したのだ。

SNSの隆盛によって、ネット世界がリアルに回帰するのであれば、グーグルが目指したと言われる「誰でも、無料で、自由に、情報にアクセスできる」という理想郷は見果てぬ夢に戻ってしまい、帰属するコミュニティによる差別化が当然という人類の歴史で常識であった世界への回帰が起こる。
人間、思想、技術、これらは現在では全ては情報として認識されているが、インターネット以前では、情報が公開されていても管理(誰が何にアクセスしたかの追跡)は比較的簡単だった。
しかし、グーグル出現以降の公開されたインターネット世界では、情報を一旦公開すると、一瞬でその内容が世界中に伝播し、共有、悪用、フリーライド、なんでも可能になってしまった。しかもアーカイブが残るので、その情報を永遠に消せなくなった。

21世紀のSNSの爆発的な拡大は、
1:赤裸々な公開に違和感を感じる人の増加
2:お気軽な”匿名の非日常”を楽しみたい欲望の増加
3:リアルに近い濃い関係を求める需要の増加
など、様々な要求を実現できるツールとしてSNSが認識されたからだろう。
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SNSの隆盛によって、
SNSコミュニティならではの「お作法」が習得必須科目として顕著になってきたと思う。

リアル世界では、友人になる時は一定の「相互の自己紹介」が前提になっている。
いわゆる値踏みである。値踏みに合格すれば、相互に友人として承認する。
それがリアル世界だ。

SNSの世界では、相互の値踏みが困難だ。
リアル世界なら30分も話せば、初歩的な値踏みが可能だが、SNSでは文章だけなので、判定が難しい。

商売を前提としたSNS(運用会社、メルマガ情報提供など)なら、ビジネスだと割り切って誰でも友達にする。だから、アップされる記事も、その目的に沿った当たり障りの無いものに、ほぼ限定されるのだが・・・

SNSでは、友人になるのも簡単だか、切られるのも簡単だ。
ブロック一発で完全に追放される。そのままでは、切られた自分に非があった場合でも、ゴメンナサイを相手に伝えられない。
だから、SNSでの言動はリアル社会以上に自制心や節度が求められるのだと思う。
お気軽な”匿名の非日常”を楽しむためのSNSは、ここでは言及しない

第一グループ:リアルでもSNSでも友人
第二グループ:SNSだけの友人
この使い分けを上手にすることが、上手なSNS使いになる秘訣だろう
リアル世界と、デジタル・リアルの世界には、微妙に温度差があるのだ。


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