2015年9月27日日曜日

既に始まっている新時代 その1

今回の軟調相場の遠因は、資源エネルギー価格の低迷
特に原油価格の低迷により、産油国の国家財政状況は、これまで投資してきた世界の株式のいくばくかを現金化せざるを得ない状況にまで追い詰められてきた。
産油国が投資している世界の株は時価総額上位の大型株が中心だ。彼らの買いが消え、時々売りが起こる事を考慮すれば、大型株は辛い時代だと推定できる。特に歴史の古い大型株ほど、累積投資額が多いだろう。

中国企業の業績の低迷は、重厚長大産業が低迷しているのが主要因だ。
エネルギーや資源を多消費(=非効率経済)する時代が終わったにもかかわらず、過剰化した生産設備が温存されてきたのは、国営企業ゆえ赤字でも命令一つで銀行から融資を引き出せたからであり、「ゾンビ企業+焦げ付き融資を抱えた銀行」の一蓮托生は、その解消には2020年のチョイ先までの時間が必要だと思われる。

個人投機家を中心としたイケイケ・バブルによって察制したAHスプレッド(同一株で、A株が高く、H株が安い状況)が正常化するまでは、上海株の本格復活は無いだろう。現在の異常なAHスプレッドは、機関投資家が触らない中小型株の長期低迷を示唆していると思う。

上海株の底打ち復活のタイミングは、生産者物価指数の変化が教えてくれるだろう。
マイナス領域にある生産者物価は、重厚長大産業の設備過剰と赤字生産継続を反映しており、それらが解消すれば生産者物価も底打ちすることが推定されるからだ。

US経済はマクロ指標は「まだら模様」になっているが、雇用と住宅はOKだから大丈夫だろう。
シェール革命によって「自国の安価な化石燃料」が豊富に使えるようになったことが大きい。
30年先はわからないが、3-5年先までは問題がないだろう。
中東アフリカ情勢の混乱の影響からもっとも遠くにある国という点も、政治経済の安定に寄与し、世界の株式の中で米国株のPERが割高グループに入ることを正当化するだろう。

日本株は大型輸出企業の利益の伸びの鈍化が辛い。
3・11の地震以降、日本企業の輸出数量が伸びずに横ばいを余儀なくされている。
その原因に関しては、
1:アジア勢の追い上げで輸出競争力を失いつつあるとか、
2:巨大地震が起こる日本からの輸入はサプライ・チェーンに支障をきたすリスクがあるので、一定割合を日本以外からの調達に切り替えたから、等と言われている。
その理由のいかんにかかわらず、円安が止まれば輸出金額も増加がストップするリスクが高い。
2016年5月以降は、前年比での円安メリットが消える。

チャートを見ても、小売りの戻りが、良好だ。
景気回復によるジリジリとした内需の活性化、外人観光客、これらの恩恵は続く。

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