2015年9月30日水曜日

目次: AI & Deep Learning

1:AI & Deep Learning_1

2:AI & Deep Learning_2

3:AI & Deep Learning_3

4:AI & Deep Learning_4

5:AI & Deep Learning_5

6:AI & Deep Learning_6

AI & Deep Learning_6

人間とロボットの共存する社会

人工知能(AI、Deep Learning)の到達する先にあるのは、ロボットだと言われている。
ロボットと人間のかかわり方に関して、興味深いレポートが数多く出ている

(1)現在の人間は、ロボットは忠実だと信じている
ロボットに対しての方が話しやすい、心を開きやすい、抵抗がない
その理由は、ロボットは秘密を守ってくれると感じるからだ。
子供がぬいぐるみに秘密をしゃべるのと同じだ。

ロボットの有効な利用分野として「介護」がある。
介護における最重要な仕事は、会話だ。
会話が減ると人間はドンドン劣化する。
会話があれば、要介護になるリスクが減少する。

高齢者、初期の認知症患者に会話ロボットを与えると、彼彼女たちはめきめき明るく快活になる。

家族であっても人間は、同じ話を何度もされると、それに付き合うことが嫌になるが、ロボットなら何度でもいつまでも話を聞いてくれる。
家族以上に自分に親身になってくれると感じる
高齢者は、ロボットに対しては心を開く。


(2)ロボットは嘘つかないと信じている
デパートで1万円のカシミアのセーターの販売をアンドロイド(遠隔操作のロボット)に担当させる実験が行われた。

人間の店員の2倍の販売を記録した。
ロボットは嘘つかない、顧客はアンドロイドの言うセールス・トークを素直に信じた。人間の店員なら、売込みだという嫌悪感で話を素直に聞かない。


(3)機械とロボットの境界
道具としての機械は、必要な時だけ動かす「モノ」
人と
いつも一緒にいるのがロボット、ロボットとは、プライバシーを共有する


(4)人間は誰と、会話しているのか?
人間は、一度認識人間とは「想像でcommunicate」している。
相手が会話した人なら、2回目以降は「その人」であるという同一性を厳重にチェックせずに、同一だと判断して会話する。
( 何故オレオレ詐欺にひっかかるか、の背景 )

自分の前にいて会話している「物体」が、人間か、アンドロイド(最先端のもの)かを、人間はいちいちチェックしない。
自分が会話している「そのモノ」が相手だと信じている、ということだろう。
同じ範疇の事象だが、20年前、冷蔵庫や洗濯機がしゃべると「気味が悪い」と言われた。
今ではほとんどの家電がしゃべるようになった。人間は、人間に近いものを好むのだ。姿かたちが重要ではないのだ。


つまり、人間が心を開く対象として、ロボットやアンドロイドの外見が人間に酷似している必要は全くない。声と触感さえあれば、一般の人間は「ソレを人間」だと感じる。我々がロボットやアンドロイドなどに、心を開くためには、その外見は人間の形をしていなくても良いのだ。


AI & Deep Learning_5

1:人口知能が人間の道徳秩序を塗り替える

自動運転に関しては、社会全体的な要請からは「人、車、その他」が協調して秩序だって行動すべきだという事になる。

むしゃくしゃするから憂さ晴らしのための無謀な運転、時速160kmで走り回る、無謀な割り込みや追い越し、自転車を無灯火で道路の右側を運転する、傘をさして歩道を自転車で走る、酔っぱらって電車の非常停止ボタンを押す、
これらの行為は、今は「注意されるだけ」だが、人工知能がインフラとして行き渡った社会では、これら行為によって生ずる社会的な損失(経済的な損失金額)も瞬時に計測可能になって、全員が知るようになる。

社会経済の損失は、利益の減少、税収の減少を通じて、その後の増税につながるが、これらの予測も瞬時に計測され、「その他多くの国民が被る税の負担増加金額」も知れるようになる。

今までは、「まあまあ、よくある事だし、誰だってやってしまうバカげた行為だから」と甘い対応で見逃してもらえた事が、社会的な損失金額が知れるにしたがって、損害の補てんを迫られるかもしれない。

無謀な運転で事故を起こして道路が渋滞したことによる物流が受ける損害金額、悪ふざけで非常停止ボタンを押して電車が止まったことにより発生する経済的損害金額、これらは一人の人間がもたらす経済的な損害額としては巨額である。

人工知能が創り出す安全で効率的な社会のためのルールは、過去以上に社会効率性が重視される「新秩序」となることが予測される。

それが正論である限り、社会的には反論できない。AIが活躍する時代では、これまで以上に品行方正な人間として行動することが求められるだろう。

2:信号も左側通行も無用の長物になる
完全に自動運転車の世界になると、信号も正面衝突防止用の中央分離帯も無用の長物になる。
道路や車に搭載された無数のセンサーと上空から道路状況を監視するシステムが協調して安全な運行を管理するので、交差点も信号なしでも安全に車が通過できる。
同様に、空いた道路では一方通行のように道路を使うことで効率性が高まる。対向車が来る時だけ、車は左側に避ければ良い。

こうなると、
信号や中央分離帯は、全体システムに管理されない人間や自転車のためだけに存在することになる。

3:人間の価値は平等ではないことがルール化される
自動運転に関して既に問題化していることがある。
現在の人間の行動と、学習したコンピューターが判断した行動が相克状態になることを示唆している。

現在は、車対歩行者の自己の場合、ほぼ100%車が悪いことになっている。
しかし、AIがコントロールする自動運転の時代では、このまま
ぶつかったら歩行者1人が死ぬ、一方車が歩行者を避けらたら、車は側壁にぶつかって同乗者4人が死ぬ、どちらの命を優先するか?
歩行者1人か、同乗者4人か?

さらには、ぶつかって死なせる可能性のある相手が、余命1年の人間、悪人、ダメ人間で、同乗者が、若者、善人、世の中の役に立つ優秀な人材というように、相手と同乗者の個人データが事前に把握できてしまうAI自動運転の時代では、人の命がコンピューターの価値判断レベルでは平等ではなく差が生じる

この場合、自動運転車を管理するシステムは、どう行動すべきだとプログラムするのが良いのか。
人間があえて避けている困難な判断領域にまで、人工知能は合理的な判断を下し、新しい秩序を構築する可能性が高い。

4:プライバシーが筒抜けになるペッパー君

ルンバの新型にはカメラがあって、動き回りながらユーザーの家の地図を作り、何がどこにあるかを覚え、仕事をしながら部屋のレイアウトを確認している。

( 下図:アイロボット社のルンバ )


新型ルンバは仮想同時位置認識および地図作成(visual simultaneous localization and mapping, vSLAM)”と呼ばれる技術を使って自分の位置を認識し、すべての面を清掃する

このRoombaはまだ掃除していない部分を自覚し、2時間のバッテリーで労働し、自分で充電し、完全に掃除が終わるまで仕事を続ける。

ユーザーの部屋の状況を記憶するという意味では、家政婦と同じレベルに到達したことになる。

ソフトバンクが販売開始したペッパー君にもカメラがある。
ペッパー君は部屋中を動き回り、どの部屋に何があるかの情報を収取する。
その情報を使ってユーザーと会話することができる。
例:TVが新型になりましたね・・・などと

( 下図:ソフトバンクのペッパー君 )


なお、世界の名だたるIT企業が、「家庭内にロボットを配布する」ことに意欲を持っている。
ロボットが収集したデータ(この家には、**があるが、++がない)をネット経由で収集して、「++の値引きセールが始まりました」などと販売を勧誘するのが目的だと言われている。


ペッパー君の任務にそれが含まれていない、とは言えない。


AI & Deep Learning_4

1:既に実用化が始まった「AI & Deep Learning」の産業への応用
人工知能(AI)の産業分野への影響が大きいのは以下の三分野だと言われている。
1:交通運輸、2:製造、3:ライフ・サイエンス
いくつかの事例を紹介したい。

2:自動車
自動車分野の人工知能(AI)の実用化では、自動ブレーキが有名だ。スバル・アイサイトが代表的な製品であるが、他メーカーでも自動ブレーキがなければ売れなくなりつつあると言われている。

( 下図:左:スバルの自動ブレーキ、アイサイト )


高齢化によるボケ、てんかんなどの病気による不幸な事故が報道されるたびに、自動ブレーキが付いていたら他人を殺さなくてすんだのに・・・と感じることが、自動ブレーキのついた車を購入する背景になっている。

自動運転のグーグル・カー

人間は車を運転する時に、他の車や歩行者を目で認識して、それらがその後どのような動きをするのかの「予想・推定」を行いながら、自分のアクションを決定している。

現在の人工知能(AI)は、残念ながら人間が行っていると同等レベルの「予想・推定能力」を持っていない。

( 下図:左:人間の運転の原理、右:自動運転システムの運転の原理 )


しかし、人間には備わっていない手法と能力で「自動運転」を実現しつつある。
人間の目や耳は2個しかないが、自動運転車には100個以上のカメラやセンサーが搭載されている。

( 下図:左右ともグーグル社の自動運転車 )


常時車の周り360度の様子をカメラで監視し、レーダーで自車と他車の関係をチェックし、道路などに設置されたカメラやセンサーが入手した情報を高速ネットワークで瞬時に把握して、現状を分析し自分のアクションを決定している。
( 下図:自動運転をサポートする社会インフラの全体図 )


自分の情報と他人の情報を共有しながら、システム全体で(=社会全体で)安全な運転を確保するという手法が採用されている。


3:物流
地味ではあるが、物流分野では実用化が早くから進んでいる。

( 下図:左右ともに、アマゾン社のPicj-Up-Robot )


世界最大の小売業者アマゾンは世界各地に巨大な物流倉庫を持っているが、その中を縦横無尽に動き回って顧客の注文した商品を集めてくるのがPick-Up-Robotと呼ばれる人工知能(AI)搭載のマシン(上の写真)だ。

物流用の倉庫は無数に存在する。
工場、卸業者、ショッピング・モール、所狭しと収納された商品が倉庫には山積している。
人間が台車を押して商品を入出庫しているが、肉体労働であり従業員は高齢化しているものの、人手不足で困っている。

それに対処すべき日本企業が開発したのが、カルガモのようについてくる人工知能(AI)搭載の台車(カルガモ台車だ。
人間が運ぶ場合は一人で一台の台車しか動かせないが、カルガモ台車なら複数台の台車を一人で動かせる。

( 下図:ZMP社の物流支援ロボット「CarriRo(キャリロ)」 )


カルガモ台車には数個のセンサーが搭載されており、台車のスピード、走行軌跡、何かにぶつかったときのショック測定などのデータが自動的に無線LANでオンライン集計される。全国に散らばった多数の倉庫であっても、その稼働率管理を含む、適切な業務管理にも有効だ。

なお、何かにぶつかると、「もっと優しく運転してね」などと優しい女性の声が出るなど、楽しく安全に、そして商品を大切にしながら仕事ができるような工夫もなされている。

4:製造業
複数のロボットの協調的な共同作業

( 下図:複数のロボットが協調して全体として効率的な製造をするシステム図 )


遠く離れた工場の見えない場所にある機械同士が情報をリアルタイムで交換しながら協調して効率的な「モノ造り」をする。


何がどれだけ売れて、倉庫内の在庫がどれだけ減少したから、何を何時までに何個製造するか、そのために原材料をどこからどれだけ購入し、どの工場に搬入するか・・・・それが世界中に分散した工場を連携させて、全体システムとして製造する。

これが、「インダストリー4.0」と言われる人工知能(AI)を活用した最新の製造業だ。

AI & Deep Learning_3

1:人間を超える可能性(人間とコンピュータの違い)

最新のニューラル・ネットワーク(人間の脳の構造に近い回路を持つ)を用いたDeep Learning型の人工知能を搭載したマシンは、外部に設置されたセンサー(道路の監視カメラ、速度計、風力計、雨量計、温度計、湿度計、地震計、体温計、血圧計など)の外部情報を高速無線ネットワーク経由で、リアル・タイムで入手しながら、その状況ならどう行動すべきかを判断する。

しかも、他のマシンが学習した最新情報を即座に交換しながら、数多くのマシンが整然と協調行動をする。
これは、分散協調型のDeep Learningと言われる。

( 下図:自動運転を分散協調的に学習する様子 )


優等生の脳、名人の脳、熟練者の脳のすべてが、瞬時に全員にコピーされるに等しい。
しかも、マシンだから高齢化や老衰と無縁、無限にコピーして複製可能だ。

他のマシンの習得した能力を瞬時に取り込むという「分散協調型」によって、コンピューターは人間を超える能力を習得する可能性がある。
人間の脳を接続して相互に同期できるようになれば、話は別であるが・・・

また、コンピューターの自己学習型の人工知能(AI)の場合は、プログラム(Aの場合は、Xする、というような“ルール”)を書く必要がない

コンピューターが試行錯誤しながら、ルールを発見する仕組みだからだ。
自己学習型AIでは、コンピューターに「どう学習させるか」、つまり何が得点を与え、何が減点されるかという「どう教えるか」が重要になる

AI & Deep Learning_2

1:AIの歴史

人工知能の研究は1940年代から始まっており、既に80年近い歴史を持っている。

2:20世紀のAIは、ルール移植型
20世紀の人工知能(AI)は、人間が知り得た様々なルールや法則、知識をコンピューターにプログラムとして入力した。



専門家の知識、名人の技をコンピューターでの移植する手法も「エキスパート・システム」という名で流行した。

しかし、ルール通りではスムーズに流れない、例外が多い現実世界に柔軟に対応するような人間的能力を人工知能(AI)は持ちえず、実用化の域に達しなかった。

つまり、20世紀の人工知能(AI)は、人間で言えば、いわゆる「指示待ち族」のような存在で、事前に指示されたこと以外の問題(=三遊間の問題)をすべてトンネルするような低レベルの存在に過ぎなかった。

3:21世紀のAIは、ルール発見型
現在の人工知能は以前とは違い、強力なパワーを持ち始めているが、学習による知識の改善&蓄積をコンピューター自身が行う、自己学習型と呼ばれる人工知能(AI)だ。

コンピューターの学習は単純な仕組みで行われる。
上手な行為=得点を得る
下手な行為=減点される

コンピューターは、「どう反応すれば得点を増やせるか?」だけに着目して、何度も試行錯誤を繰り返して、正しいルールを発見していく。
( 人を殺せば得点を与える、という仕組みで学習させる(悪用=軍事利用)ことも可能である )

「Aの状況では、Xのように行動する」と得点が増える(=ルール)という記憶(=プログラム)を、試行錯誤を繰り返しながらコンピューター自身が発見し増やしていく。

過去にも同様な手法が試された歴史はある。
しかし過去には、現在では可能であっても過去では不可能だった高いハードルが立ちふさがっていた。

1:まずは、外部の情報を正確に素早く察知する高性能のセンサーだ。
2:そしてセンサーから得た情報を瞬時に分析判断するパワフルなCPU(コンピューターの心臓部)
3:さらには、外部のセンサーが得た情報をコンピューターに高速で伝達する無線通信ネットワーク
4:そして、膨大な情報(=データ)を瞬時に利用できるような形で保持する巨大なクラウド・システム

20世紀には上記4点を欠いていたために、理念的には人間のように考える人工知能(AI)が考案されたが、当時出来上がったものは、あまりにも反応が遅く、失望を招く結果となった。

4:人間のように成長するが故の問題点
自己学習型の人工知能(AI、最新型はDeep Learningと呼ばれている)は、コンピューターがどういうプロセスで、どんなルールを発見したかを、外部から見ることができない(=ブラック・ボックス)。

それはまるで人間の幼児がどういうプロセスで社会のルールを発見しながら成長するかを、肉親であっても外部からは検証できないのと同じだ。

人間の赤ちゃんは、目、耳、舌、皮膚、体全体を、外部情報を取り入れるセンサーとしてフル活用して、察知した外部情報に対して何らかの反応をして、その結果褒められたり叱られたりという試行錯誤を繰り返しながら、社会のルールを学んでいく。

褒められる(赤ちゃん)=得点を得る(コンピューター)、叱られる(赤ちゃん)=減点される(コンピューター)、は同じことを意味する。

現在の最先端の人工知能(AI)の一つは、
Deep Learning(機械の自己学習の中でも最も人間に近いニューラル・ネットワーク<脳の仕組みに類似した回路>を用いた機械自己学習)
と呼ばれる最も人間に近いAI(人工知能)

AI & Deep Learning_1

1:急速に注目を浴びてきた「AI & Deep Learning

自動ブレーキ、自動運転のTVCMが盛んに流れ、雑誌でも「人工知能(AI)Deep Learning(深層学習)」の特集が増えている。

( 下図:左&中、グーグルの自動運転車、右、日産の自動運転車のTVCM )


日本で、人工知能が一躍脚光を浴びたのは、2012年から始まったプロ棋士(人間)対コンピューター将棋の電王戦だ。
2013年、2014年と2年連続で人間側が負ける結果になり、いよいよプロ将棋も終わりかと言われたことで注目を浴びた。

(下図は日本将棋連盟HP、http://www.shogi.or.jp/kisen/denou/より )


( 下図:左:スバルの自動ブレーキ、アイサイト、右:アイロボット社のルンバ )


2:お掃除ロボット、ルンバの人気化

ルンバは人工知能(AI)を搭載したロボットであるが、ユーザーの多くが、ペットに対して感じるような愛情や愛着を感じると言われている。

ルンバに名前を付けて声をかけるユーザーもいるようだ。
期待通りの仕事を健気に、文句も言わずにコツコツ毎日やって、終われば自分で充電スタンドまで帰って行く、そんな小さくて可愛いペットという地位をルンバは得ているようだ。


知らぬ間に人工知能を搭載した製品が生活の中に増えており、しかもまったく違和感を持たないままに日常生活をしているのが、2015年の私たちなのだ。

2015年9月27日日曜日

既に始まっている新時代 その1

今回の軟調相場の遠因は、資源エネルギー価格の低迷
特に原油価格の低迷により、産油国の国家財政状況は、これまで投資してきた世界の株式のいくばくかを現金化せざるを得ない状況にまで追い詰められてきた。
産油国が投資している世界の株は時価総額上位の大型株が中心だ。彼らの買いが消え、時々売りが起こる事を考慮すれば、大型株は辛い時代だと推定できる。特に歴史の古い大型株ほど、累積投資額が多いだろう。

中国企業の業績の低迷は、重厚長大産業が低迷しているのが主要因だ。
エネルギーや資源を多消費(=非効率経済)する時代が終わったにもかかわらず、過剰化した生産設備が温存されてきたのは、国営企業ゆえ赤字でも命令一つで銀行から融資を引き出せたからであり、「ゾンビ企業+焦げ付き融資を抱えた銀行」の一蓮托生は、その解消には2020年のチョイ先までの時間が必要だと思われる。

個人投機家を中心としたイケイケ・バブルによって察制したAHスプレッド(同一株で、A株が高く、H株が安い状況)が正常化するまでは、上海株の本格復活は無いだろう。現在の異常なAHスプレッドは、機関投資家が触らない中小型株の長期低迷を示唆していると思う。

上海株の底打ち復活のタイミングは、生産者物価指数の変化が教えてくれるだろう。
マイナス領域にある生産者物価は、重厚長大産業の設備過剰と赤字生産継続を反映しており、それらが解消すれば生産者物価も底打ちすることが推定されるからだ。

US経済はマクロ指標は「まだら模様」になっているが、雇用と住宅はOKだから大丈夫だろう。
シェール革命によって「自国の安価な化石燃料」が豊富に使えるようになったことが大きい。
30年先はわからないが、3-5年先までは問題がないだろう。
中東アフリカ情勢の混乱の影響からもっとも遠くにある国という点も、政治経済の安定に寄与し、世界の株式の中で米国株のPERが割高グループに入ることを正当化するだろう。

日本株は大型輸出企業の利益の伸びの鈍化が辛い。
3・11の地震以降、日本企業の輸出数量が伸びずに横ばいを余儀なくされている。
その原因に関しては、
1:アジア勢の追い上げで輸出競争力を失いつつあるとか、
2:巨大地震が起こる日本からの輸入はサプライ・チェーンに支障をきたすリスクがあるので、一定割合を日本以外からの調達に切り替えたから、等と言われている。
その理由のいかんにかかわらず、円安が止まれば輸出金額も増加がストップするリスクが高い。
2016年5月以降は、前年比での円安メリットが消える。

チャートを見ても、小売りの戻りが、良好だ。
景気回復によるジリジリとした内需の活性化、外人観光客、これらの恩恵は続く。

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2015年9月7日月曜日

中東アフリカの大量難民受け入れは、ベルリンの壁崩壊2.0

シリア難民のドイツへの大量流入
2010年に始まった中東アフリカ100年戦争(=2013年にそう思って以来、使っている春山的表現にすぎません)の激化をを考えれば、大量難民はまだまだ序の口だろう。
2015年9月・・・「ベルリンの壁崩壊2.0」が起こったのだと感じた。
壁の崩壊、国境の開放、、、その後は実務的な苦難の時代が長期間続く。 東西ドイツの統合は同じドイツ人同士であったが、約10年と巨額の財政移転を要した。 比較的短期間で統合が成し遂げられたと思う。
今回の大量難民の受け入れは、異民族&異なる一神教の信徒という非常に困難な問題を含んでいる。 この問題をこなしながら経済運営をしなければならない欧州は、大変な時代が始まったと思う。
1989年11月9日のベルリンの壁の崩壊から、26年
200年後に振り返れば、連続した事件と認識されるかもしれない。 今後、何がどうなるのか、熟慮したいと思う。
これまでの推移